1980年代後半から1990年代初頭にかけて日本で人気を博したギャグアニメ『おぼっちゃまくん』が、現在インドで新たなブームを巻き起こしています。この人気を受け、テレビ朝日とソニー・ピクチャーズ・ネットワークス・インディア(SPNI)は、インド市場向けの完全新作エピソードを共同制作することを発表したそうです。
SPNIのキッズ&アニメーション事業責任者であるアンベシュ・ティワリ氏によると、2021年から同作はインドの有料チャンネル「Sony YAY!」で放送され、4~13歳の子どもたちを中心に高い人気を誇っています。その成功の鍵は、丁寧なローカライズと共感を呼ぶストーリーにあります。特に、主人公・御坊茶魔のユニークなキャラクターと大げさな表現が、インドの子どもたちに強く響いているとのことです。
『おぼっちゃまくん』の特徴的な要素である「茶魔語」も、インドでの人気に一役買っています。「茶魔語」とは、主人公が使う独特の言葉遣いで、「すいま千円」「そんなバナナ」「おはヨーグルト」など、日本語の語呂合わせや言葉遊びが特徴です。これらの表現は日本語特有のものであるため、インドでのローカライズには工夫が必要でした。ティワリ氏は、「直訳できないものもありますが、コメディのエッセンスを損なわないように注意深く脚色しています」と述べ、インドの子どもたちにも自然に感じられるフレーズや表現に置き換えることで、ユーモアの魅力を保っていると説明しています。
新作の制作体制は、日本のテレビ朝日が脚本を担当し、インド側がアニメーション制作を行うという国際分業の形をとっています。これにより、オリジナルのユーモアやキャラクターの個性を保ちつつ、インドの文化的ニュアンスや視覚的表現を取り入れた作品に仕上げられています。全26エピソードの制作はすでに完了しており、放送に向けた準備が整っているとのことです。
インドにおける日本アニメの人気は高まっており、『NARUTO -ナルト-』や『クレヨンしんちゃん』なども多くの視聴者を獲得しています。ティワリ氏は、今後インド市場のニーズに応えた後、アジアや世界の他の地域にもローカライズしたバージョンでオリジナルコンテンツを提供する計画があると述べています。
『おぼっちゃまくん』の再ブームは、文化や言語の壁を越えてユーモアが人々をつなぐ力を持っていることを示しています。今後の展開にも注目が集まります。
「茶魔語」について詳しく知りたい方は、以下の動画をご覧ください:
YouTube – おぼっちゃまくん 公式チャンネル
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