スタジオジブリの名作アニメ映画『火垂るの墓』(1988年公開)が、戦後80年を迎える2025年夏に、日本国内でもNetflixで配信されることが決定しました。これまで日本国内では配信されていなかった同作が、海外での高評価を受けて、ついに国内でも視聴可能となります。
『火垂るの墓』は、野坂昭如の同名小説を原作に、高畑勲監督が手がけたアニメ映画で、太平洋戦争末期の神戸を舞台に、兄妹の過酷な運命を描いています。戦争の悲惨さや家族愛をリアルに描写した本作は、国内外で高く評価されており、特に海外では「戦争アニメの金字塔」として知られています。
これまで日本国内では、テレビ放送やDVD・Blu-rayでの視聴が主でしたが、今回のNetflixでの配信により、より多くの人々が手軽に本作を鑑賞できるようになります。戦後80年の節目にあたるこのタイミングでの配信開始は、若い世代に戦争の記憶を伝える貴重な機会となるでしょう。
また、スタジオジブリでは、高畑勲監督の生誕90年を記念して、彼の業績を振り返る展覧会「高畑勲展 ―日本のアニメーションを作った男。」を2025年6月27日から麻布台ヒルズ ギャラリーで開催予定です。この展覧会では、『火垂るの墓』をはじめとする高畑監督の作品や、彼の思想・技術に焦点を当てた展示が行われる予定です。
『火垂るの墓』の国内配信開始と高畑勲展の開催は、戦争の記憶を風化させないための重要な取り組みであり、多くの人々にとって、戦争と平和について考えるきっかけとなることでしょう。
高畑勲監督について
高畑勲(たかはた いさお、1935年10月29日 – 2018年4月5日)は、日本のアニメーション映画監督・プロデューサーであり、スタジオジブリの共同創設者の一人です。東京大学文学部仏文学科を卒業後、1959年に東映動画(現・東映アニメーション)に入社し、アニメーションの世界に入りました。
彼の代表作には、『太陽の王子 ホルスの大冒険』(1968年)、『アルプスの少女ハイジ』(1974年)、『母をたずねて三千里』(1976年)、『赤毛のアン』(1979年)などがあります。これらの作品では、リアルな人間描写と社会的テーマを取り入れたストーリーテリングが特徴です。
1985年にスタジオジブリを設立し、『火垂るの墓』(1988年)、『おもひでぽろぽろ』(1991年)、『平成狸合戦ぽんぽこ』(1994年)、『ホーホケキョ となりの山田くん』(1999年)、『かぐや姫の物語』(2013年)など、多くの名作を生み出しました。特に『かぐや姫の物語』は、アカデミー賞長編アニメーション賞にノミネートされるなど、国際的にも高い評価を受けました。
高畑監督は、アニメーションにおけるリアリズムの追求や、日常生活の細やかな描写、社会的メッセージの込められた作品作りで知られています。その功績により、1998年に紫綬褒章、2015年にフランス芸術文化勲章オフィシエを受章するなど、多くの賞を受けました。2018年に82歳で逝去されましたが、その作品と影響は今もなお、多くの人々に愛され続けています。
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