――8月15日ついに公開。これが本当にアニメか、否か。あなたの映画的常識を粉々にする、それが「ChaO(チャオ)」という作品だ。
見た目は可愛らしい人魚姫と人間のギャグロマンスのようで、どこかほのぼのしたファンタジー? ……ところがどっこい! 本作はそんな予想をあざ笑うかのように圧倒的な映像表現で観る者を突き刺す。全瞬間が絶え間なく動き、「そんな線、ありなの!?」と驚かされるほどの、文字通り狂気の品質。総作画枚数10万枚超、企画から完成までに9年という並外れた時間を費やした、まさしく“怪物的”超注目作なのだ。

しかも、本作は世界的映画祭でも栄誉ある評価を得ている。アヌシー国際アニメーション映画祭で審査員賞を受賞(これは「時をかける少女」「この世界の片隅に」以来、日本作品として8年ぶり)という快挙。北米ではファンタジア国際映画祭にも出品され、各国で高評価に火がついている。
その制作の背景には、STUDIO4℃とプロデューサー・田中栄子の執念があった。通常なら企画が止められてもおかしくない状況で、田中氏は企画を諦めず、資金調達と制作陣統率に奔走し、“観たことのない作品をつくる”という熱意を形にした。
総作画枚数が異常な数字となったのには理由がある。青木康浩監督が“アドリブを楽しむ自由度の高い制作現場”を導入し、スタッフによる創意工夫が次々と採用されたことで、知らず知らずに10万枚を突破。さらに背景や脇役にいたるまで無駄を排せず動きを積み重ね、“誰も観たことがない斬新表現”を詰め込んだ結果だ。鉛筆描き→スキャンの手法や、フル3Dから線取り後の手描き美術、音響も次のカットの音を残す演出など、あらゆる面で“非効率”を敢えて選び、映画そのものを解体する狂気のディテールが詰まっている。


だけど刺激だけじゃない。怒涛の展開の向こうには“海よりも深い情動”がある。まるでジェットコースターのようにめまぐるしい展開で観る者を引き込みつつ、「成長」「文化の違いを乗り越える勇気」など温かく心を包む普遍的テーマもありながら、それらを見事な伏線回収でまとめあげる構成力には舌を巻くばかりだ。観た後、映画観が変わる。そんな衝撃を確かに受けることだろう。


映画ファンにとって、本作を見逃すことは“映画人生の損失”だ。理屈や言葉では伝えきれない、狂気と感動の共鳴。ぜひ劇場で、その全身全霊の“ぶっっとんだ体験”を、自分の目と心で味わってほしい。
監督と STUDIO4℃ について
- 監督:青木康浩
本作が初の長編監督作ながら、極めて強烈な個性を放つ異才。スタッフのアドリブを積極的に採用し、自由な発想と遊び心を大切にする制作姿勢が、本作の異常なクオリティの原動力となった。 - STUDIO4℃
「鉄コン筋クリート」をはじめ、独創的かつ狂気的クオリティの作品を世に送り出してきたクリエイティブ集団。本作でもその名に恥じない映像表現と制作姿勢が随所に見られる。




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