2025年6月に発売が予定されている任天堂の次世代ゲーム機「Nintendo Switch 2」。しかし、アメリカ国内ではその販売価格が“えぐい”ほどに高騰する恐れが出てきました。その原因とされているのが、「トランプ関税」と呼ばれる政策の影響です。
本来、Switch 2のアメリカ市場での本体価格は449.99ドルとされていましたが、現状ではその価格での発売が難しくなり、予約受付も無期限延期となっています。背景にあるのは、トランプ前大統領が提唱・導入した新たな関税制度です。
■ トランプ関税とは?
「トランプ関税」とは、ドナルド・トランプ前大統領が2018年以降に導入した一連の関税強化策を指します。彼の目的は、米国内の製造業を活性化させ、中国や他のアジア諸国からの輸入品に依存する経済構造を是正することにありました。2025年にはこれがさらに強化され、全ての輸入品に最低10%、特定国(中国、ベトナムなど)からの輸入品には最大46%の関税が課される方針が示されています。
この関税は家電製品、スマートフォン、ゲーム機など幅広い消費者向け製品に影響を及ぼし、特に海外製造に依存している企業にとっては大きな打撃となっています。
■ Nintendo Switch 2への直接的な影響
任天堂はSwitch 2の多くの部品をアジア(主に中国やベトナム)で製造・組み立てており、アメリカへ出荷する際に関税が発生します。従来のコストに比べて大幅な増額が見込まれ、そのままでは利益を確保できない状況に陥るため、価格転嫁せざるを得ないのが現実です。
その結果、Switch 2本体の価格は500ドルを超える可能性があり、ソフトも1本あたり79.99ドル前後に高騰するケースが出ています。もはや“お手頃な家庭用ゲーム機”というイメージは薄れ、一般消費者にとっては高嶺の花となりかねません。
■ 任天堂の対応と業界全体への影響
任天堂は現在、アメリカ市場での販売戦略を見直しており、一時的に予約の受付を停止。製造拠点の移転や価格の再調整も検討していると見られています。しかし、製造ラインの移動には時間とコストがかかるため、短期的な解決は難しいというのが現実です。
任天堂だけでなく、ソニーのPlayStationシリーズや、マイクロソフトのXboxシリーズなど、他の大手ゲーム機メーカーも同様にアジア製造に依存しているため、この関税は業界全体に波及しています。結果として、ゲーム機本体だけでなく、周辺機器、ゲームソフト、さらにはスマートフォンやPCといった広範な電子機器の価格上昇も懸念されているのです。
■ 消費者の反応と今後の展望
このような価格上昇は、アメリカの消費者にとって大きな痛手となり、購買意欲を鈍らせる要因となることは間違いありません。特に、家族層や若年層にとって、ゲーム機の価格が1.5倍近くに跳ね上がるという事態は厳しいものです。
今後の焦点は、任天堂がどのようにアメリカ市場への対応を進めるか、また関税政策そのものが政権交代などによって見直されるかどうかにかかっています。ゲーム業界にとっても、政治・経済の動向を無視できない時代が訪れていると言えるでしょう。
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